【譲渡企業】制御盤で全国をつなぐ電気工事業の事業承継

制御盤設計・製作事業の更なる

発展を願って決意したM&A

譲渡企業

斎藤電機工業株式会社(秋田県)

前社長 斎藤 憲一 様

父から引き継いだ事業をなくしたくなかった

事業の沿革・魅力を教えてください

弊社は昭和35年に父が創業し、昭和63年に病で倒れた父に代わり、私が脱サラして経営を引継ぎ、平成2年に有限会社に法人成りしました。おかげさまで地元では名前が知られるようになり、大手企業との取引が始まったこともあり、平成10年に株式会社に組織変更をしました。

創業当社のメイン事業は電気工事ではありませんでしたが、私はエンジニアの経験があったので、制御盤の設計・製作と電気工事を手掛けるようになりました。

父が倒れ、そのまま私が会社を引き継いだため、当初は何もわからない状態でした。ただ、父が作った会社をなくすことはできなかったため、会社経営も分からないまま、なんとか走り回って必死に仕事を獲得し、良いお客様に恵まれて、何とか事業を軌道に乗せることができました。

法人成りしたタイミングで、現在でも主要なお客さまである大手取引先と付き合いが始まり、大きな建物の電気工事が増えるにつれ、制御盤設計の仕事が受注できるようになりました。

県内には制御盤の設計・製作ができる競合先はないため、おかげさまで重宝していただいています。設置やメンテナンスのために、遠方への出張も多く、忙しく駆け回っていますが、秋田から全国に向けて、弊社が設計した制御盤をお届けしていることをとても誇らしく思っています。

メイン事業の一角を未来につなぐために

事業承継を考えた経緯を教えてください

年齢が大きな理由です。60歳代の後半に差し掛かり、70歳までには事業承継を終えたいと考えていました。親族に承継できればよかったのですが、そううまくもいかず、従業員や取引先に迷惑をかけないためには、第三者に引き継いでもらう必要があると考えました。

また、弊社の制御盤設計・製作事業は特殊で、設計は私が一人で行っていました。メイン事業の一角ですので、この事業を失くすわけにはいかないと思い、早いうちに後継者を見つけ、ノウハウをすべて伝えようと思っていました。

最初は県の引継ぎ支援センターに相談しました。支援センター経由でトップ面談まで進んだ先がありましたが、相性が合わず上手くいきませんでした。

そこで、本格的に相手を探すためにメイン金融機関に相談したのが始まりです。

悩むより覚悟を決めたことがいい結果につながった

<M&Aの交渉はいかがでしたか>

周囲には、電気工事をやっている会社はあっても、制御盤の設計・製作までやっている会社はありませんでした。

M&Aの交渉の中で、他社と話をすることで、自分たちがどれくらいのレベル感でやれているかを評価してもらえたのはとても良かったと思っています。

一時は、トントンと話が進みすぎて本当に売却していいのかと悩んだこともありましたが、引き伸ばすよりも覚悟を決めた方がいいと思いましたし、すべてが終わった今となっては、とても良い結果になったと思っています。

弊社をお引受けいただいたTBホールディングスさんは、グループ企業に消防設備工事を行う建設会社がありますし、何より制御盤に関連する事業がありました。少し分野は違いますが、制御盤の設計・製作に理解があり、今後はグループで新たな取組みや営業エリアの拡大が期待できると思っています。

交渉中は、何度も面談を行い、弊社とTBホールディングスさんの本社を行ったり来たりしましたが、同じ県内のお相手だったからこそ、容易に行き来ができ、交渉もスムーズに進んだと思います。最初は他県の相手でも問題ないと思っていましたが、交渉が進むうちに、距離感が近い方がお互いに行きやすいし、何事も便利だと気が付きました。あまり遠いと、冬場の移動が大変だったりしますので、県内同士のお相手でよかったと思います。

金融機関と連携し進めてくれたことが安心できた

<AOBAの対応はいかがでしたか>

AOBAさんは、状況を細かく報告してくれましたし、質問にもすぐに回答してくれましたので、対応にとても満足しています。

また、金融機関とも情報を共有しながら対応してくれました。金融機関に状況を尋ねても、しっかりと回答が返ってきましたので、そこも安心して進められたポイントのひとつでした。

最後には調印式も開催していただき、その挨拶では、これまでの弊社のこと、とくに父親について思い出したときに自然に涙が出てきました。

心機一転、より一層の飛躍に向けて

<事業承継を終えてどのような気持ちですか>

とても良い結果となりほっとしています。

当面は引継ぎのために取締役として会社に残りますが、いずれは仕事から離れて経営のプレッシャーから解放されることを考えると、とても安心しています。

また、従業員がそのまま働き続けられることがとてもありがたいと思っていますし、おかげさまで制御盤設計・製作事業を次につなぐことができました。

私のこれからの役割は、ノウハウを承継し、私に代わる人材を育成することです。

長い道のりだとは思いますが、まずはそれに向けてしっかり取り組みたいと思っています。

TBホールディングスさんのグループに入ったことで、メリットがたくさんあると思っています。人材や仕事のやり取り、新しいエリアへの営業、ノウハウの共有など、会社が発展していくことが楽しみです。

AOBAから

従業員の皆様や取引先のことを一番に考えておられた斎藤様の姿をずっと見てまいりましたので、今回の事業承継のお手伝いができ、とても嬉しく思っています。斎藤電機工業様の今後の更なるご発展を祈っております。本日はどうもありがとうございました。